薬剤師になると通常業務だけではなく、学会に加入したり学会の学術大会に参加することがあります。
みなさんはどんな学会に加入していますでしょうか。病院薬剤師であれば日本病院薬剤師会や日本医療薬学会といった大きな学会に1つは入っているかもしれません。それに加えて各専門分野の学会にも加入している方もいると思います。
しかし、学会に加入すると金銭的に毎年ランニングコストがかかるため、専門分野の学会には入っていないけど入るべきか迷っている方は多いです。
ちなみに日本化学療法学会の年会費は2023年現在 9,000円/年 です。
今回は、感染制御認定薬剤師であり日本化学療法学会に加入している私が、以下のことを解説していきます。
- 日本化学療法学会に加入するメリット
- どんな人が入るべきか
- 加入して3年目の感想
参考にしてみてください。
加入するメリット
日本化学療法学会に加入するメリットとして以下のことがあげられます。
- ガイドラインが読める
- 学術大会に割引で参加できる
- 認定が取得できる
ガイドラインが読める(結構大事)
ガイドラインが読めるのは臨床業務を行う上で大きなメリットです。
学会に加入していないとガイドラインは読めないの?
そう思う方もいると思います。実は臨床で使うガイドラインは一部無料公開されている学会もありますが、日本化学療法学会に関しては学会員のみのネット公開もしくは書籍等での公開となっています。
特に業務でよく使うガイドラインには、抗菌薬TDM臨床実践ガイドラインやClostridioides difficile感染症診療ガイドラインなどがあります。
もちろん教科書等にも感染症診療の基本的な部分は書いてありますが、ガイドラインは最新情報が盛り込まれたその時代の標準的なルールが書いてあります。これらが読めないと正しい感染症診療ができない可能性があります。
薬剤師として最適な薬物療法を実践するためにこれらのガイドラインが読める環境にあることが非常に重要です。
学術大会に割引で参加できる
学術大会(総会)は全国会、東日本、西日本がそれぞれ年に1回ずつで合計3回あります。
学会員の参加費は2023年4月の第71回日本化学療法学会総会で12,000円でした。非会員であるとそれがさらに高額になります。
年間に3回日本化学療法学会の学術大会に出席するなら、それだけで年会費分はペイできます。
認定が取得できる
感染症関連の認定取得を目指している薬剤師は多いです。
日本化学療法学会では抗菌化学療法認定薬剤師と外来抗感染症薬認定薬剤師という2つの薬剤師が取得できる認定制度を運営しています。
特に抗菌化学療法認定薬剤師は取得を目指す薬剤師が多く、感染症や抗菌薬に関しての知識と経験を証明するための良いツールとなっています。
感染制御認定薬剤師と抗菌化学療法認定薬剤師の違いについては以下の記事を参考にしてください。
こんな人は入ったほうが良い
日本化学療法学会に入るか迷っている方の中でも、このような方は加入しておいた方が良いかもしれません。
- 感染症に関わるチームに入った
- 感染症が好き
- これから感染症に関わる認定取得を目指したい
感染症に関わるチームに入った
感染症に関わるチーム、ICTやASTに入った方は専門的な業務に従事することが多くなります。
これまでに持っていた教科書的な知識を前提として、最新の知見を入手する力やさらに多くの経験を積むことが重要になります。
上記のメリットを享受して学術大会に参加したり認定取得を目指す過程で、最新の知見や自分のスキルアップを効率的に進めることができます。
感染症が好き
チームには所属していないけど感染症が好きな方も多くいます。
学会に所属すれば感染症に対する知識を増やすことができるだけでなく、ガイドラインを見て普段の介入の引き出しを多く作ることができます。
さらにそのモチベーションは、上司に対してICTやASTと言ったチームへの参加へのアピールにつながるかもしれません。
特に若手の方で将来感染症を専門分野の一つとしたいという方は早めに加入すると良いでしょう。
これから感染症に関わる認定取得を目指したい
感染症に関わる認定は上記したようにいくつかあります。
その一つとして抗菌化学療法認定薬剤師と外来抗微生物薬認定薬剤師を目指すことができます。
認定取得は専門家としてのわかりやすい指標になるので、コストはある程度かかりますがおすすめです。
認定を名乗るだけでも説得力が上がることもあるでしょう。
加入してからの感想
私は3年前から加入しています。認定取得を第一に考えていましたが、要件では認定申請時に加入していればよかったため、入るのはその時で良いと思っていました。(ランニングコストもかかりますし。)
でも正直少し遅かったなと思うことがあります。
ここまで書いてきたように、感染症に関わる人にとっては多くのメリットがあります。
特に学会への参加は本当にいい刺激になりますし、一気に知識が増える場でもあります。
認定取得を目指していて、認定取得時に入ればよいと思っている方も今入ることで見えるものが変わるかもしれません。
迷っている方は参考にしてみてください。