抗菌薬を無知の状態から学ぶのに最適なテキスト3選

これから抗菌薬の勉強を始めようと思っている方は、どんなテキストから取り組めば抗菌薬や感染症の勉強を効率的にできるのか悩んでいる方も多いと思います。自分も最初の第一歩がなかなか難しいと思っていました。

この記事では、ASTに従事して4年目で感染制御認定薬剤師の僕が、まず最初に取り組むべきテキストを3つ紹介します。

このテキストを全て購入して勉強すれば確実に第一歩がスムーズに踏み出せます。

セット買いがおすすめです。

特に最近は質の高いテキストが出版されました。最新の情報になりますので是非参考にしてみてください。

Table of contents

抗菌薬BOOK&MAP

抗菌薬BOOK&MAPは、獨協医科大学埼玉医療センターの薬剤師である佐野邦明先生が執筆されています。感染症や救急領域に非常に詳しい先生で、感染制御専門薬剤師講習会などの演者としても講演される先生です。また、2023年現在は月間薬事の連載もされています。引用論文を多く掲載してエビデンスベースを意識されている文章であるのが特徴で、引用にはPMIDも必ず添付されていて非常に信頼が持てます。

このテキストの特徴は何と言っても手に取りやすい。

本の厚みは非常に薄く、ページ数も200ページ弱となっています。

内容に関しては感染症症例の考え方から抗菌薬の基礎的な知識、血液培養や抗菌薬アレルギーに関することまで幅広く学べます。

今、僕が感染症の勉強を始めるとしたら、まずこの本から始めると言ってもいいほど初学者が読んでもスッと入ってくる内容になっています。

「感染症や抗菌薬なんて大学でもほとんど学ばなかったからさっぱりだよ」

こう思う方も多いと思いますが、とりあえずこの一冊を1周読んでみてください。次の1冊が欲しくなるはずです。

グラトレ

グラトレは佐賀大学病院の薬剤師である浦上宗治先生が執筆されています。大学病院の感染制御部に所属されている先生で、感染症が専門です。感染症関連の学会等でも多く演者をされており、非常にわかりやすく簡潔な表現の講演をされます。グラトレ出版を機にTwitterをされておりますが、読者に対して常に物腰柔らかく対応されているのがとても好印象です。

こちらの1冊は、微生物のグラム染色を軸に作製されている書籍です。つまり、微生物から抗菌薬の選択方法が書かれているといったイメージです。

グラム染色って薬剤師の日常診療ではほとんど使わなくない?

そう思った方もいるかもしれませんが、グラム染色を理解するだけで感染症や抗菌薬の知識がさらに定着しますし、感染症の面白さを実感するきっかけになります。細菌検査室があれば行きたくなります。

特にこの書籍はグラム染色について書かれているものですが、薬剤師の先生が執筆されています。そのため薬剤師的な考え方を幅広く知ることができるので、グラム染色をきっかけに薬剤師としての介入に深みが出ること間違いなしです。

この本も200ページ程度の薄い書籍なので1日時間を作って一気読みできるサイズなので初学者には非常におすすめです。

感染症プラチナマニュアル

メディカルサイエンスインターナショナル
¥2,530 (2024/09/18 15:03時点 | Amazon調べ)

感染症プラチナマニュアルは埼玉医科大学総合医療センターの医師であり、総合診療内科・感染症科の岡秀昭先生が執筆されています。感染症界隈では知らない人はいない先生で感染症関連の講演会も多く演者として出演されています。医師の先生であり非常に多忙な中大ベストセラーを1~2年に1回改訂するなどタフさがうかがえます。釣りが趣味で時々Twitterには釣りネタを上げています。

言わずと知れた感染症の診療に便利な書籍です。

感染症の3要素、感染部位、原因微生物、抗菌薬それぞれに関して簡潔に記載されている書籍です。

そのため感染症診療を行う際に最初に開く1冊として最適です。

自己研鑽に使うもよし、実際の現場で調べものをするために使うも良しでオールマイティな書籍です。引用論文のPMIDも記載してあるので論文検索もしやすいです。

医師から薬剤師、臨床検査技師、看護師など様々な職種が重宝する書籍です。

ポケットサイズとなっているので、ぜひ1冊もって感染症の実際の症例に使ってみてください。

僕も改訂ごとにグランデサイズを買っています。

まとめ

感染症は苦手とする薬剤師が非常に多い分野の一つです。

しかし、この3冊をとりあえず買ってしまえば基本はしっかりと身に付きます。あとは実際の症例に触れて介入を繰り返すことによって経験と感覚が養われます。

その他の書籍を買ってみるも良いですし、論文検索で最新の情報を手に入れることもしてみてください。

また、今からしっかりと勉強をしていき、ぜひ感染制御認定薬剤師などの感染症に関わる認定の取得を目指してみてください。

Please share
Table of contents