感染制御認定薬剤師認定試験の情報ってネット上でもあまり見かけません。
どんな試験なのか気になりますよね。
そもそも、病院薬剤師が取得できる感染系の認定資格には
- インフェクションコントロールドクター(ICD)
- 感染制御認定薬剤師(PIC)
- 感染制御専門薬剤師(ICPS)
- 抗菌化学療法認定薬剤師(IDCP)
- 外来抗感染症薬認定薬剤師
以上があります。
この中でも特にメジャーで我々の多くの感染系病院薬剤師が目指す資格は
日本病院薬剤師会で取得することができる
- 感染制御認定薬剤師
- 感染制御専門薬剤師
があります。
日本病院薬剤師会はほとんどの病院薬剤師が加入している学会かと思います。
(うちは強制的に入ります。笑)
ちなみに、薬剤師が取得できる感染系の資格については以下の記事で紹介しています。
私は現在5年目病院薬剤師で、院内ではICT、ASTの一員として活動しており、
感染制御認定薬剤師を目指しています。
先日、感染制御認定薬剤師の認定試験を受験してきましたので感想を書いていこうと思います。
感染制御認定薬剤師の認定要件
まずは前提として、感染制御認定薬剤師の認定要件をおさらいします。
最もシンプルに挙げると
- 病院薬学認定薬剤師であること
- 3年以上のICT活動歴があること
- 現在、1年以上継続してICT活動に従事していること
- 勉強会の単位が取得できていること
- 症例を20例提出する事
- 感染制御認定薬剤師認定試験に合格していること
以上があります。
詳細は日本病院薬剤師会(https://www.jshp.or.jp/senmon/senmon2-2.pdf)を参照してください。
今回の話題は、認定要件の最後の項目
“感染制御認定薬剤師認定試験に合格していること”
に関することです。
どのくらい勉強したの?
久々に大学時代に戻ったような気分になりました。
薬学部を経験していた方ならだれもが感じていたあのテスト前の感覚がよみがえります。
思い出したくない方もいるかもしれませんね、、笑
具体的には
具体的な勉強時間は、
- 平日1~2時間
- 休日12時間
こんな感じです。
勉強期間のトータルとして120時間くらいはやったと思います。
学生のころと比較して、社会人、
本当に時間がない。
朝はいつもより1時間早く起きて、1時間勉強するのですが、
夕方は残業や会議があり、終業時間よりも帰るのが遅くなる。
さらに、体力的にも消耗しているので勉強を始めてもほとんど集中することができませんでした。
なので平日は
- 朝1時間
- 夜1時間
この程度です。
こんなんじゃ全然勉強進まないじゃん。
そう思った方もいると思いますが、では、いつ勉強するのか。
もちろん、
休日
です。
社会人にとって休日の自由に使える時間はマジで大切だと実感しました。
休日の具体的な勉強時間は
朝6時~夜11時までのうちの正味12時間
食事と風呂、自由時間を数時間作ってこのくらいですね。
30分に1回くらい小休憩を取りながらやれば結構集中力は続きます。
このやり方はポモドーロテクニックというのですが、以下の記事で簡単に説明しました。
試験範囲は?
認定試験の試験範囲が気になる方もいると思います。
試験範囲は、認定試験の受験申込時にしっかり明示されます。
結論から言うと、
- 薬剤師のための感染制御マニュアル(日病薬)
- 添付文書
- など
以上です。
「など」というワードが気になりますが、とりあえず今は置いておきます。
薬剤師のための感染制御マニュアル
以下、この記事では“教科書”と呼んでいきます。
結論、この教科書の勉強が1番重要です。
私たちは普段臨床業務を行っていますが、
- 臨床ではあまり触れない分野
- 施設による偏り
こんな問題点があります。
感染系薬剤師にとって、臨床業務に関することは自信がある方が多いでしょう。
しかし、細菌や抗菌薬のミクロな部分、感染症法の分類、法律的なところなどあまり日常では触れない内容も多いです。
それを補うツールが
教科書
です。
基本的にこの教科書は1文字残さず熟読することが大事です。
試験のためには絶対買ってください。
添付文書
添付文書は薬剤師にとって最も基本となる薬剤情報の資料ですね。
用法用量、適応、禁忌などは教科書にも載っていますが、細かく載せていない部分もあります。
それを補うための添付文書です。
教科書で勉強しながら、気になった薬剤に関しては添付文書やインタビューフォームを開く。
目の前にPCでPMDAのページを開いておけば効率が良いです。
「など」とは
「など」っていう表現、なんかずるいですよね。笑
確かに主催側としては「など」と書いておかないとトラブルのもとになるのかもしれませんが、、
ただ、受けてみてわかったのですが、この表現は
その時代のトレンド
これを表しているのだと思います。
例えば現在は2022年ですが、2022年の試験では
- COVID-19関連
- TDMガイドライン改訂関連
- 診療報酬の改訂関連
これらが教科書外から出題されました。
これらは皆2021年~2022年にかけて大きな話題となった内容です。
教科書の内容に関しては情報を更新することができませんので、
最新情報は自分で取りに行くしかありません。
普段のICT・AST活動をしていれば大体わかることも多かったですが、トレンドに関しては常にアンテナを張っていたほうが良いです。
特に最新の感染制御専門薬剤師講習会(日病薬が主催して行う感染系薬剤師のための講習会)の内容は結構対策になると思います。
具体的な勉強方法は?
では、具体的に何をどれくらいやったのか。
それについてお伝えします。
これに関しては個人差があります。あくまで私がやった方法となりますので参考程度に。
結論から行きましょう
- 教科書1周熟読
- 過去問1周
- トレンドに関してググる
- 添文、インタビューフォームは適宜
こんな感じです。
教科書1周熟読
まずは基本となる教科書を1周熟読です。
1文字残さず読んでいき、重要だと思う部分にはマーカーをしていきます。
これは結構時間がかかりました。
30時間くらいは使ったと思います。
ただし、教科書を1回読んでも全く内容は覚えていません。
アウトプットしながらでないとなかなか定着しません。
過去問1周
アウトプットの最強アイテム、それは
過去問
です。
大学を経験した方ならだれもが重要だと思うでしょう。
実は、感染制御認定薬剤師の過去問は公式にはありません。
もう教科書3周くらい熟読するしかないのか。
最初はそんなことを思っていましたが、
なんと、作ってくれている方がいるんですね。
noteというブログサービスでの販売となりますが、価格はなんと
300円
破格すぎる、、
正直2000円くらい出しても価値のあるものだと思います。
私はこれをすかさず買い、ダウンロード。
答えのない穴埋め式の問題になるので自分で調べながら勉強します。
合計560問以上ありました。
これを1周したわけですが、560問解くだけでもなかなか時間がかかりました。
いや、過去問を解きおわったころにはもう試験になりました。笑
しかし、これが相当な知識定着につながったのです。
やっぱり過去問のパワーえぐい。
この著者さんとは全く関わりがありませんが、
300円なら買うしかないでしょ。
もう一回リンク貼っておく。笑
トレンドに関してググる
上でも述べたトレンドの内容に関する事は、ググってください。
もちろん、ちゃんとしたエビデンスのあるサイトですよ。
例えば、
- COVID-19関連
- TDMガイドライン改訂関連
- 診療報酬の改訂関連
これらを勉強するのであれば、
- 厚生労働省のCOVID-19診療の手引き最新版
- 化学療法学会のTDM診療実践ガイドライン2022
- 厚生労働省の感染対策向上加算についてのページ
以上の様なネット上のページで学ぶことができます。
これに関しては自分のオリジナルで大事そうなところを読んでいきました。
添文、インタビューフォームに関しては適宜
言うまでもなく、添文、インタビューフォームは全ての基本です。
気になったら開く癖をつけておくと良いです。
個人的には、
知識があまり定着しないなあ。
と思ったらインタビューフォームの「開発の経緯」、「製品の特性」
これを見ることをおすすめします。
その薬が
- どんな歴史で開発されたのか
- どんな特徴があるのか
これらがまとまっているので非常に有益な情報です。
熟読する時間はありませんが、気になったら適宜読んでいくことをおすすめします。
まとめ
結論、結構大変だったけど結構楽しかったです。
大学時代に頑張って勉強していた記憶がよみがえりましたし、テストの感覚も大学の時みたいでした。
ただ、その時と違うのは
時間のなさ。
大学時代も時間がないと思っていましたが、それよりもさらにないことを実感しました。
タイムマネジメントは重要です。
平日1~2時間、予定のない休日は終日勉強
これを1か月~2か月
そのつもりでやるのが良いです。